一橋大学大学院におけるいけばなの講義と実演の実施報告

昨日のブログでお知らせした、麻布橘会支所 特別会員 土合 朋宏さんからのご報告です。

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私は昨年から一橋大学大学院経営管理研究科の客員教授として、 将来の企業経営者となるMBA (経営学の大学院)の学生 (社会人・平均 3 6 歳) に対して「経営実戦論」という講義を行っているのですが、 今年も 講義の議題 の1つ に 「 アートの力 」 を取り上げ、 7 月1 6 日の授業において 、 麻布橘会支所 支所長森由華先生を講師にお招きし、いけばなについての講義と実演を行っていただきました。

「経営学の授業でなぜアート?」と思われるかもしれませんが 、 現在の 経営学では 、「 これからの経営者は美の感受性を高め、真善美の確固たる判断力を持っている必要がある」と言われ始めているからです。


森先生からは、昨年同様、 池坊の歴史、花形、哲学についての座学の講義を行っていただいたのち、 夏はぜ と シマフトイ、 杜若の二株いけと 、 ひまわり 、 ゆり 、なでしこ など 10 種類の花材を用いた 自由花三作品実技を行っていただきました。

いけばなに関する講義は日本の経営 大学院 の授業の中でも非常にユニークなものではありますが、我々にとっては2回目となりますので、 昨年よりはリラックスした形で授業を計画することができました。

今年は講義の時間を昨年より多めに取り、またオンラインではなく対面で実施することができました。
昨年の経験から、いけばなに触れたことのないほとんどの学生もかなり 興味を持ってくれるだろうと、予想はできていましたが、今年も皆さん、興味津々でした。

池坊の誕生に1400年遠忌の聖徳太子が登場し 、日本人の暮らし方の変化 とともに池坊の哲学が進化・発展していくことに驚き刺激を受けていました 。そして森先生の素晴らしい手さばきと軽快なスピーチとともに行われた、 生花正風体の二株いけの実技と、学生と対話をしながら活けていただいた自由花のデモンストレーションに皆さん魅了されておりました。

今年も講義後の質疑応答は大変活発で 、たくさんの質問が出ました 。 「 池坊がこれほど長く続いているのはなぜなのか ?」という質問に対しては、森先生は「池坊は不易流行を常に考え、維持するものと変化させていくものをうまくバランスを取っている」というお答えを、

また「ダンサーとのコラボレーション作品の『ホワイトラブ』のアイデアはどのようにして生まれたのか?」という質問には、「相手のダンサーのお考えやダンス自体のテーマや雰囲気を見極め、どのような『いけばな』がそのダンスと最もマッチするかを考えて作品を作り上げた」といったお答えをしていただきました。

また、「祖母が花を活けているのをみていたが、あらためていけばなに興味を持った」といった感想も出るなどいけばなに興味をもってくれた学生も多く、大変うれしく思っております。

最後になりますが、今年もまたこのような素晴らしい講義をご教授していただいた森先生には本当に感謝しております。

学生にとってもめったに経験できない刺激的な講義だったのではないかと思います。

昨年、今年といけばなを用いた社会人ビジネスマン向けの講義は成功しましたので、今後もこのような活動の場を続けていければと思います。

麻布橘会支所
土合朋宏