師から弟子へ 心技の伝承

1月9日(月・祝)に、池坊東京会館にて、麻布橘会支所初いけ生花研究会(全2日間の2日目)が開催され、参加して参りました。

森先生の師匠である森部隆特命教授に直々のご指導をいただけるということで、前の日からワクワクしていて、教室にも少し早めに到着し、最前列の席を確保しました。
森部特命教授の手元までしっかり見えるので、学びが多かったのはもちろん、午前中の講義と実演もあっという間に時間が過ぎていきました。

生花の実演サンシュユの一種生けで、生花別伝中段流(花配りで留める方法)を間近で拝見でき、立花の実演では、「7・5・3の組み合わせ、求心・遠心の組み合わせ、全体の呼吸を整えるかのようなバランス」を改めて学ぶとともに、森部先生のアシスタントを森先生がおつとめになるという贅沢なコンビネーションはまさに圧巻、あっというまに立花正風体が立調されました。時間にして15分くらいだったのではないでしょうか。

コロナ禍にあって、むしろ長時間の稽古時間を確保できるということで、昨年は立花の稽古を重ねましたが、まだまだ精進あるのみとも思いました。

午後の実技では、木瓜の一種生け花配りで挑戦するということで、木取りをしばし熟考し、役枝の配置がすっと決まりましたので、ほとんど時間をかけずに生けることができました。今までに、何度か泊船を生ける機会がありまして、花配りを使用したことがあったこともあり、花配りで留めることも何となくコツを掴んでいたようです。

森部先生に手直しをいただくときには、麻布橘会のInternet Exhibitionの話にもなり、出瓶作品の写真だけでなく「萌え」に関する文章までお読み頂いていて、そのこと自体に大変驚くとともに、感謝の気持ちで一杯になりました。

午後3時には森部先生をお見送りさせて頂いて、教室の片付けという流れでしたが、その間に森部先生は「専好立花の世界 『臥雲華書に学ぶ』」の裏表紙に直筆のサインをしてくださっていました。

ご存知のとおり、この書籍の表紙は国宝の「洛中洛外図屏風(舟木本)」が用いられていて、とても華やかな風情があるのですが、今回の森部先生によるサインはさらに華やかなページを追加してくださいました。

師匠から弟子、そのまた弟子、と人から人に伝え、伝わっていくのが華道の素晴らしいところですが、まさにそれを体感した一日でもありました。

このように、今回、コロナ禍中には実施できなかった研究会を再開できたわけですが、充実の内容でぜひまた開催して頂きたいと感じました。

今回も門弟の方々がそれぞれ係を担って、スムーズな運営に意を配ってくださいました。
最後になりましたが、この研究会を企画し、森部先生を招聘くださった森先生に、改めて感謝申し上げます。


池坊麻布橘会支所
特別会員
高槻亮輔

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