第三回スペシャルインタビューは 池坊麻布橘会役員 土合氏へのスペシャルインタビューです

2025.9.18スペシャルインタビューvol.3
2025.8.17「花展について」
スペシャルインタビューvol.2
2025.7.18スペシャルインタビューvol.1
2025.7.18花展のキービジュアルアップしました

花展特設ページ スペシャルインタビュー第3弾は、池坊麻布橘会の役員であり、特別会員の土合朋弘さんです。長年、外資系のエンターテインメント業界で活躍され、一橋大学の客員教授でもいらっしゃいます。
どのようなお話が伺えるか楽しみです。

土合さん、こんにちは。先日7月26日の一橋大学大学院MBAでの華道講義といけばなデモンストレーションでは大変お世話になりました。
最初2021年にお声掛けいただいてから五回目の今年も無事に終わりほっとしています。
今年はどんな印象でしたでしょうか?

土合

5年目の今年も学生は皆さん、いけばなの講義と実演に興味津々でした。そして今年は、企業の経営と池坊の哲学との類似性に興味を持った学生だけでなく、日本文化を見直すきっかけとなったと答えた学生が多かったのが特徴です。

そうですか。1年目、2年目はコロナ禍の影響で隣りの教室からオンラインで授業しましたが、やはり同じ場所で実演しているとお互いの空気が伝わってきます。
この授業についての、土合さんのこだわりはどういうところでしたか。

土合

毎年かならず、池坊の歴史・哲学に触れる講義と、立花の実演をしていただくことをお願いしています。これは、池坊の歴史・哲学が、企業経営に通じる部分があるので、池坊をこれまで以上に身近に感じてくれること、そして、あまり見る機会がない立花の実演を見ることで、その迫力を楽しんでもらえるからです。また、森先生の講義とデモンストレーションの後には、必ずフォローアップの講義を行い、ビジネスパーソンとしての視点から池坊の講義を振り返り、その歴史や哲学をどのように企業経営に応用できるかへと理解を深めています。また、これからの経営者には「感性」や「美意識」がますます必要となってきました。その点でも日本の伝統的な美の1つであるいけばなに触れることは、将来の役に立つと考えています。

そうなんですね。今回は授業の後に、池坊東京会館に場所を移していけばなワークショップをしました。25人が参加してくださって、土合さんが初めていけばな講師を務められましたが、こちらはいかがでしたか?

土合

森先生にアドバイスをいただき、講義のレジメを作り、いけばなの初体験で感じてもらいたいポイントをお伝えました。参加した皆さんは満足してくれたようですが、それ以上に教師である僕自身の学びが大きく、ますますいけばなを学びたい気持ちが強くなりました。教えることは、最も強い学びの体験だと思いました。

2025年7月 一橋大学MBA  授業後のいけばなワークショップ

とってもナチュラルに優しく対応されていて素敵でした。今後もぜひこのような機会を作っていただきたいと思います。
さて、本題ですが今回の花展、土合さんにとっての思いや抱負をお聞かせください。

土合

自分が池坊で学びたいと思ったのは、過去からの長い歴史があり、いけばなを通して何百年も昔に生きていた先人たちと時間を超えて「対話ができる」ことに浪漫を感じたからです。今回の麻布橘会支所となって初めての大きな花展にあたり、この自分の初心に戻り、過去から伝わる古典的な生花正風体を通して、池坊の歴史と哲学をお伝えしたいと思っております。

2016年11月 旧七夕会花展
経済会の池坊人コーナーに 自由花で出瓶

それは、お仕事にも生かされますね。土合さんは、ずっとエンターテイメントの世界をプロデュースしていらっしゃいます。そして、10年前に池坊へ入門されました。実際にいけばながお仕事や日常に生かされていると感じる時はありますか?

土合

僕の担当する分野の中には、ブランドの価値やイメージを作る仕事がありますが、池坊という組織が長きにわたって組織とブランドの価値を維持していることについては、大変学ぶことがあります。また、今ある素材の中でどのように組み合わせてベストな形を作るかということについては、日々の決断と通じるものがあります。また、自由花を作るプロセスというのは実はマーケティングや広告の開発に似ていることも多く、考え方を応用できるものが少なくありません。

そのようなこともあるのですね。興味深いです。今回は生花正風体を出瓶されますが、生花の好きなところはどんなところ?

土合

過去からたくさんの先人たちの手を経て現代まで受け継がれているところです。また、シンプルで無駄なものがそぎ落とされている美しさも好きです。

ちなみに、好きなお花や最近気になった作品を教えてください。

土合

カキツバタ、ツバキ、蓮などは好きな花です。また、森先生に大学の講義でいけていただいた蓮の立花には大変感動いたしました。また、森部先生の二代専好の書を再現された作品群には大変感銘を受けました。

2021年旧七夕会 出瓶 立花正風体

花展の舞台「ヒルズカフェ/スペース」

今から楽しみですね。
それでは、最後にこのインタビューを通して、皆様へのメッセージがありましたらぜひ!

土合

今回の花展は歴史的な作品から、現代的な作品まで見どころ満載です。いろいろないけばなに触れて、自分の好きな作品をみつけてください。

土合さん、有難うございました。