池坊らしさを体感
今回の自由花研究会は「変形花器と吸水性スポンジを用いて自由花を生ける」というテーマでしたが、
実技に入る前の講義も大変勉強になりました。
約20年間ほど池坊の稽古を続けてきますと、少しは「池坊らしさ」というものを意識した表現ができるようになってきたように思います。
10年以上前だったと思いますが、当時の東京清祥会支部の花展に出瓶した作品は、今思えばお恥ずかしいものでした。
今回の講義では、自由花の基本形態は「たて、よこ、ななめ」、構成要素は「線、面、点、マッス」で、
それらを組み合わせて(組み合わせと言っても、複数を二重には構成しない)、
モチーフを分かりやすく明確化して、自分をいかす表現をするということを学ぶとともに、
歴史的には、1999年の立花新風体の成立を得て、自由花から盛花と投げ入れが無くなったということを学びました。
講義を終えて実技に入る前に、和をテーマに準備頂いた花材をじっくり見ることができ、
ある程度のイメージをもって、東京会館の花器庫に向かいました。
そのため、様々な変形花器が大量に保管されている花器庫でも、ほぼ迷いなくすぐに花器を決めることができました。
手にした変形花器を前に、改めて蔓梅もどきをじっくり眺めて、選び取った二つの枝のカーブを活かせるように、
それぞれをそっと矯めて、あとは変形花器の高低差を意識して、菊・竜胆・撫子等を生けました。
森先生からは「蔓梅もどきの殻は外すのですよ」とご指導を頂き、
画竜点睛、実のオレンジがパッと明るくなって、今回の自由花が完成しました。
海外出張からナイトフライトで早朝の羽田空港に戻り、東京会館には朝8時に到着したので、
いささか疲れていて、生け始める前は少しぼーっとしていたのですが、
生け終わったときには、頭はスッキリと清々しい気持ちになっていました。
華道を続けていてよかったと体感できる一時でもあります。
「池坊らしさ」というものを意識した表現は、まだまだ奥深いものがあります。
これからも精進を続けていくのみと、決意を新たに東京会館から辞去しました。
高槻亮輔