先斗町華藝倶楽部 ( 後編 )
いけばな体験では、二十節気「処暑」から「白露」に変わる時候についてのお話から始め、
秋の七草が万葉集におさめられている山上憶良の歌がルーツになっていることを解説しました。
「秋の野に 咲きたる花を 指折り(およびをり) かきかぞふれば 七草の花」
「萩の花 尾花 葛花 撫子の花 女郎花 また藤袴 朝貌の花」
そして、「野分(のわき台風)のころに美しい細みの花材を取り合わせて、群生する美しさ、秋ならではの風情を自由花で表現しよう」というテーマで、見本花を生け、皆さんにも取り組んで頂きました。
和服は世界に誇るべき素晴らしい衣装と思いますが、今回の皆さんも季節を踏まえた柄の着物と帯、簪などを見事に着こなしておられて、花材を手にして取り組む様子はとてもとても美しいものになっていました。
あっという間に時間が過ぎて、池坊謹製の花袋に花材をしまって解散となりましたが、
「葉をひとつとるだけ、花の位置をほんのすこし動かすだけで印象が大きく変わることに驚きました」
「いつもと違う頭をつかっていたような気がします」
「ぜひ今後も定期的に続けていきたいです」
という感想を頂戴しました。
先斗町の芸妓さんや舞妓さんたちに、池坊の華道を身につけて頂くことで、
伝統文化が洗練された形で営々と継承されることになるように思いますし、
その一端を担うことができる御縁に感謝をした次第です。
最後になりますが、今回の華道体験指導をするためのお稽古をつけてくださった森先生にも感謝申し上げます。
見本花をよどみなく披露できたのは、まさに事前のお稽古のおかげでした。
人に教えることで気がつくことも多いということを改めて再確認する場にもなりました。
今後も精進して参りたいと思います。
高槻亮輔